2017年8月20日日曜日

下駄を履くまでわからない

昨日の高校野球はどの試合も緊迫したゲームが展開した。
4試合目の大阪桐蔭対仙台育英戦は、9回までずっと大阪桐蔭が1点リードのまま、緊迫した局面の連続であったが、その裏仙台育英の攻撃でツーアウトランナーなしとなって、大阪桐蔭の勝利だと誰もがそう思った。
だが、「勝負は下駄を履くまでわからない」ということわざが現実のものとなった。

九回2死、中前安打で出て次打者の2球目。投手がモーションを起こすかどうかの瞬間にスタートした。「ノーサインです。完全にセーフだと思った」。二回、内野安打で出たときだけでなく、他の選手が出塁したときも、間合いをはかって準備していたという。

 父はプロ野球西武などで活躍し、「アンパンマン」の愛称で親しまれた左腕の杉山賢人氏。杉山は「ここぞで走れるように練習試合でもやってきた。今日のような試合で決められたのがよかった」と、さっそうとしていた。

そして次のバッター若山。
若山の遊ゴロの送球を捕球するが、一塁ベースを踏まずセーフとなる。

              一塁コーチ佐藤=加藤諒撮影
足がベースに乗っていなかった
以下、新聞記事から
一塁塁審の手が横に開いている。
 「何が起こったのか分からなかった」とは大阪桐蔭の投手柿木。主将で捕手の福井は「あまり覚えていません」。九回2死一、二塁。最後のピンチを遊ゴロで終えた、はずだった。
 送球を受けた一塁手の中川が足でベースをまさぐる。遊撃手の泉口が二塁に投げてアウトを取る、と思ったのか。「焦って、ベースを見ずに入ってしまった」。走者のヘッドスライディングが先だった。
 満塁。スタンドでは観客がタオルを回す。手拍子も起こる。背番号13の加藤が西谷監督の言葉を伝えにマウンドに来る。「こんなことはあまりない。成長できるチャンスだ」。ナインに笑顔はあった。が、選抜王者と言えど、この逆境を跳ね返すのは至難だった。


 史上初となる2度目の春夏連覇へ。春以降も慢心はみじんもなかった。激しい競争。毎日の練習では福井がたびたび仲間を集め、投げる時の基本的なステップから何度も何度も確認するほどの徹底ぶりだった。
 だから、厳しい戦いが続いても崩れなかった。大阪大会は準々決勝から3戦連続で逆転勝ち。打線の状態が上向かない中、甲子園でも2回戦は1点差ゲームをものにした。
 そしてこの日も。福井の盗塁阻止や左翼手山本の本塁への好返球があった。八回に1点をもぎ取り、最後の最後。福井は「ショートゴロで勝ったと思った。そこが隙だった」。
 試合後の中川は放心状態で、柿木は泣きじゃくった。ともに2年生。たしかに、張り詰めた空気から解放されるのがコンマ数秒、早かったのかもしれないが、責める者はいない。西谷監督が言う。
 「今日の負けは、誰のせいでもない」(山口史朗)

テレビ球場に朝から晩まで釘付けの1日だった。
高校球児からパワーをもらった。今日もきっと好試合が展開されるだろう。




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