2017年8月18日金曜日

いつの間にか定年後10年


「定年後に楽しい人生を送る人、惨めに過ごす人」というタイトルの記事を見た。
執筆者がいうには、40代から老後の生活を考え、備えを怠るべからずと主張している。
自分が40代のときにそんなことを考えたことがあるかといえば「NO」である。

一昔前は定年退職してから亡くなるまでの期間が短かった。しかし、年々平均寿命が伸びていったことにより、今の時代は定年退職してから数十年という期間を生きることになる。
 その期間を精神的にも経済的にも充実した期間とするためには、定年退職前の時期から十分な準備が必要となる。その準備期間として50代という期間は極めて重要な期間である。
 早い人は40代後半から戦略的に動き始めている。そういった期間をモチベーション低く過ごすことは、あまりにもったいないことではないかと思う。

確かに私が30代の頃、勤めていたある職場では55歳で退職する機関士が概ね5年で亡くなるという話を聞いたことがあった。仕事柄、過酷な職場環境で仕事を続けてきた人の余りにも短い平均寿命である。


私が定年を意識し始めたのは定年直前になってから。嘱託で再雇用が確実だったから。
しかし、50歳代に羨ましく思ったことがある。それはヨーロッパ諸国の労働者が口を揃えて「早く定年になりたい」という思いを持っていることであった。
やりたいと思った時間に好きなことが出来る・・・、定年になるとこんなに素晴らしいのだと。私も共感したものであった。

定年後は十分な生活が保証されているからそう考えることができるのだろう。
私の場合は嘱託となり、仕事の内容は全く変わらないものの、給料は1/4、年金は減額支給となり、おまけに現役ということで大幅カットされた。定年直後、ハローワークへ失業保険の手続きに行ったのだが、年金と失業保険の併給制度が廃止され、どちらか選択しろという。ばかばかしくなって面倒な失業保険交付を断念することにした。

日本人の平均寿命は男性が80歳、女性が88歳。
 例えば、定年延長せずに60歳で定年退職し、85歳まで生きたとすると、退職後に25年間生きるだけの資金が必要になる。

 仮に、生活費が夫婦2人で毎月35万円かかるとすると、年間で420万円かかり、それが25年間続くと、1億円以上が生活費のための資金として必要になる。

 これにさらに医療・介護関連の費用も支出として生じる。こう考えると、定年退職時の貯蓄と年金の額にもよるが、働かずに悠々自適の老後を送るということは決して簡単なことではない。 そのため、定年退職後もセカンドキャリアを得て、ある程度の収入を得る必要性が生じることも十分にあり得る。

こんな文章を読むとえらく金がかかる老後である。
定年後嘱託勤務していた64歳のとき、仕事を終えパソコンの電源を落として帰るとき、外の風景を見て驚いた。何と電柱が二重三重に見えるではないか。
2,3日後「もう1年延長しますか」と庶務担当から質問され、「もう限界。延長しません」と答え退職したのであった。

そして10年後の今がある。それなりに楽しみ、それなりの生活があって今がある。
定年後のことは、あまり心配することはないよといいたい。



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