2013年3月6日水曜日

能登の景勝地をディゼル機関車で運転走行

レールが松波に届いたころ、宇出津から松波間の開業に備えて軌道整備が進んだ。
軌道整備とは諸規定を満たし、列車走行に全く支障がない状態に仕上げることをいう。
直線は定規を当てたように、曲線はコンパスで円を描くように仕上げる。この作業は3人の作業員2組がバールを左右のレール直下の道床バラストに深く差し込み、30m離れた位置に親方が立ち、作業員に「もうちょい右!」「ちょい左!」と号令し、それに呼応して作業員が声を揃えて「ヨイサッ」とバールを力を込めて軌道を左右に微調整する。
ここがこの道40年のベテラン親方の「技」の見せ所である。
監督業務で現場に行ったある日、そんな職人芸に見とれていたら、親方の足が妙にふらついているのがわかった。何と朝から飲酒して酔っぱらいながらの仕事であった。
それでも軌道は見事に整形された。
私のお気に入りの風景・田ノ浦海岸付近

真脇付近・小木T入り口上部から撮影
整備された区間が長くなり、ディゼル機関車の走行も営業線を走行するのと同様に快適になった。
ディゼル機関車と専任運転士のゲンちゃん
休日のある日、測量作業で辛い思いをした景勝地田ノ浦海岸をこの機関車を運転して走ってみたいという衝動にかられた。すぐ実行に移すべく誰に相談することもなく、第2宇出津トンネル内を車庫代わりにして留置してあった機関車に乗り込みエンジンを始動させた。運転席は進行方向ではなく、前進後進運転が可能にするため進行方向に対して直角に設けられていた。
運転方法は幾度となく同乗していた際に聞いて見て覚えていた。ノッチを低速に回し走行を開始した。エアブレーキの取り扱いもすぐ要領を得た。仮設踏切にさしかかる時には警笛を鳴らした。
そして田ノ浦海岸に出た。高い運転席から広がるパノラマ眺望を満喫しながらの運転は、なんと心地良かったことか。生涯忘れることのない往復10kmのディゼル機関車運転の体験であった。
だが、何事もなく無事帰着したといえども無資格無免許の暴挙であることは論を待たない。
若気の至りのなせる業であった。

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