2013年3月12日火曜日

S38年3月上旬、軌道敷設工事再開

3月初旬といえども豪雪の名残りは消えなかった。工事を再開するためには路盤上の雪が消え去るのを待たなければならなかった。
とはいえ、年末からすでに2か月以上も経過していた。それに宇出津~松波間の営業開始は10月1日と決定されており、1日も早く再着手しなければならなかった。
37年年末までに松波駅穴水方と蛸島方の分岐器2組の組み立てが終わり、上下線の軌道空伸ばしが終わった状態であった。
レール上に2,3cm残雪がある中、宇出津から松波まで資材運搬を開始することになった。
工事再着手、軌道材料運搬開始・モーターカー運転室補助席より撮影
 
日当たりのいい場所ではレールの頭部が見えたが、トンネルエントランス付近は20cmを超える積雪があった。それでも松波までの14kmを1時間かけて到着することができた。蛸島方分岐器の組み立て状況を確認するため下車した。モーターカーは軌道上に2,3cm積雪している状態で蛸島方分岐器を乗り越え上り線に入った。分岐器を確認中、「モーターカーが脱線した!」と叫び声がした。小走りしてそこへ駆けつけると、穴水方分岐器先端部分で車輪が脱線しマクラギの上に乗っていた。
原因は一目瞭然、あ然とした。馬鹿々々しいことに分岐器先端にレールが繋がっていなかったためである。業者が年末までの作業で余長のレールを分岐器先端に合わせて切断・接続していなかったことを失念していたことと、積雪で状況確認ができなかったためであった。低速運転走行中であって、脱線による怪我、車両の破損がなかったので一安心した。車両の下部にダンプ式油圧ジャッキが自装されていたので容易に復旧することができた。
事故の引き金はこのような些細なことから大事故につながる場合が多い。JR社員の皆さんにも、他山の石として列車運転事故防止に励まれることを願うばかりである。

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