2013年3月14日木曜日

名勝「見附島」正面に現場事務所が移転

踏み固め試運転が終了して間もなく、軌道敷設工事が松波から恋路付近に至ったことから、九十九湾傍の小木工事区を閉鎖し、珠洲市鵜飼地内に設置されていた鵜飼工事区に移転することになった。この現場事務所は本来、恋路から上戸までの路盤工事施工のために開設されたが、路盤工事が竣工したので職員の主力が珠洲工事区に転出した直後であった。
この事務所は寮と別棟に設置されていた。とはいえ、寮まで数メートルの至近距離にあった。
寮の隣に珠洲保健所があり、また、そこは名勝見附島の真正面にあたり、直線距離で500mの位置にあった。

この地図には国民宿舎能登路荘が示されているが、S38年6月当時では国民宿舎用とする温泉掘削工事中であった。また、県道から見附島に至る直線道路はまだ影も形もなく、見附島に行く場合は川沿いの道を経由して大回りしなければならなかった。
請負業者の事務所も宇出津から松波駅すぐ傍の松波トンネル入り口付近に移転した。同時に、建築・電気・信号関係の職員が詰める松波見張所が松波城址公園の登り口付近に開設された。

レールが飯田方面に延伸するに従い、私の職務上の行動範囲が宇出津から恋路付近までとなり松波開業まで多忙を極めた。
松波駅からほどなく松波トンネル、長さ510mの恋路トンネルを出ると名勝恋路ケ浜があり、すぐ宗玄トンネルとなる。そこを出ると緩やかなカーブ区間となって宗玄酒造の酒蔵の裏手に臨む。
工事中は仕込中の酒の香りが辺り一杯に漂っていた。作業員たちは一服休みや昼休みの弁当は、レールに腰を降ろして香りを楽しみながら一杯飲んでいる気分を味わっていた。
恋路・鵜飼間南黒丸付近の軌道敷設作業
休日は海水浴もした見附島付近で
S38年9月中旬、松波までの踏み固め試運転が実施された。

小木・松波間踏み固め試運転の模様
この試運転では大勢の地元住民が見物に訪れ、長年の夢「鉄道開通」が間もなく実現できるとして満面の笑顔を見せてくれた。その笑顔は2年間苦労した思いを吹き飛ばさせるのに十分であった。

平成23年6月2日、岐阜工事局OB会が「懐かしの能登線の旅」を企画し、見附島で記念写真を撮影した写真が私宛に送られてきた。皆さんそれぞれが能登線建設時代の数々の思い出に浸られたことと思う。




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