2017年6月4日日曜日

地図と位置情報

土地の境界や建物の位置を確定するための図面を地図という。地図は、あるものとあるものの関係を示すため、縮尺が用いられる。
法務局では公図=地図が備え付けられている。閲覧申請すれば誰でも見ることができる。
この公図に縮尺があるかといえば「ないものもある」のである。

公図に字絵図というものがある。明治初期に整備されたもので、和紙に着色して描かれている。これは市町村役場にも備え付けられているが、更新はされていない。
何度か鉄道用地買収用務で役場に行って字絵図をトレースしたことがある。縮尺はないので正確な位置関係は不明だが、土地の地番と形状がだいたいわかるのである。
公図の例
近年では土地売買等で所有権が移転する場合、土地家屋調査士が作成した地図を添付しなければならないので、正確な地図が順次整いつつある。
地図には「座標」というXとYの交点が示されるのだが、座標はGPSを用いて図上にプロットされる。衛星測位システムをGPSというが、衛星のなかった最近までは山頂の三角点から測量して図示しなければならなかったので、地図作成が極めて容易になったといえる。

今月1日、内之浦から準天頂衛星「みちびき」が打ち上げられた。今年中にさらに3個の衛星が打ち上げられるという。なぜこのような衛星が必要なのか。
アメリカが打ち上げた4個の衛星を使って日本のGPSが機能している。ところが、4個のうち1個が山やビルのため電波が届かない状態が発生して誤差が大きくなるという。

このため、地上の真上に衛星があるのが望ましい。常に日本の上空に一つの衛星がある状態を保つため4個の衛星が必要らしい。

北朝鮮がこの「みちびき」を打ち上げたことにクレームを付けた。北朝鮮が何度も打ち上げた弾道ミサイルの中で、標的とのズレがたったの7mだとニュースのおばちゃんが声高に叫んでいた。
アメリカのミサイルでも数十メートルの誤差があるというから、恐るべき精度といえるのである。
しかし「みちびき」は精度6cm以内を可能としているので、日本の衛星は北朝鮮にとって有害とみなしたのだろう。

明治期に国土地理院が剱岳に三角点を設置するため、決死の測量隊を結成して困難を乗り越えた経緯を描写した小説を映画化した。明治期に「みちびき」が現れるのを誰が想像できただろう。否、我々でさえも今、その事実を知るのだから。


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