2017年12月31日日曜日

リニアで談合?

リニア工事の入札で談合があったとしてスーパーゼネコン4社が家宅捜査を受けた。
大林組が課徴金逃れで談合を認めたともいう。
検察庁は自信を持って家宅捜査を実施したに違いない。
だが、本件についてはそもそも談合犯罪は立証困難だとする見方が出ているのだ。

全て談合の疑惑あり?
ゼネコンへ家宅捜査に入る検察庁
今回問題になっている東京―名古屋間のリニア工事は、高度な技術開発を要する工事の典型である。発注者といえども、だれも経験したことがない工事なのだ。
路線となる東京―名古屋間の9割程度に上る約246キロメートルが南アルプスの地下を貫通するトンネルとなり、最深部は地表から1400メートル。従来のトンネルとは比較にならない程の距離のトンネルもあり、また、東京・名古屋の駅周辺の路線では大深度地下トンネル工事が行われるなど、例として黒四ダムの工事と同様に、日本の土木建設技術の粋を結集して施工される工事と言っても過言ではない。

このような工事について、民間企業であるJR東海が発注を行うのであるが、その方式として、「総合評価方式」を併用する「公募競争見積方式」がとられている。
しかし、JR東海が工法、施工計画等を具体化し、国交省の認可を得るところまで、「独力」で行えたとは考えられないのだ。JR東海側は、その経過について一切情報を公開していないが、最先端の土木技術を持つスーパーゼネコン4社が技術面で協力したことで、国交省の認可を受けることが可能になったものだ。そのような工事発注前の技術協力は、発注の際にも、当然に受注業者の選定に大きな影響を与えたはずである。

そこで問題になるのが、上記のように、リニア工事が高度の技術を要する特殊な工事であることが、4社間での「受注調整」についての独禁法違反の成否にどのような影響を与えるかである。

「偽計業務妨害」が成立するとすれば、「被害者」は当該民間企業なのであるから、その発注者側が業務を妨害されたと被害を訴えなければ問題にならない。ところが、特捜部の捜索に関して報道されているところによると、事前にJR東海側の聴取や意向確認は行われていなかったようだ。「偽計業務妨害での起訴」に狙いを定めた捜査とは思えない。それを捜索の被疑事実として強制捜査に着手し、そこから、巨額のリニア工事をめぐる他の事件に展開させていこうとしているのだろうと推測される。

発注者が工事予定価格を算定する場合、高度な技術を駆使した施工法は発注者であるJR東海に知識としてあるはずがない。ゼネコンから参考意見を聞いて工事仕様書を作成し予定価格を算定するしかないのである。これは談合ではない。

JR東海建設工事部の前身である岐工出身者として、今後の検察の動向を注目していきたい。

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