2017年12月28日木曜日

のぞみ34号の奇跡

昭和44年から昭和50年の6年間、私は広島で山陽新幹線の建設工事を担当していた。
今月、その区間を含め博多から名古屋まで台車に亀裂が発生したままフルスピードで3時間600kmも走行したという。旧国鉄の体質(DNA)がまだ残っていると直感した。

のぞみ34号は11日午後1時33分に博多駅を出発。途中、乗務員らが異音などに気づき、もやが車内にかかるなど異常が相次いだため、名古屋駅で運転を取りやめた。台車枠に見つかった亀裂は底面に16センチ、両側面に約14センチに及び、破断寸前だった。


この状態で減速もせず3時間600kmも走行したというから恐怖を覚える。博多を出発してすぐ異音や異臭に気付いたというではないか。それがなぜ3時間もフルスピードで走行したのか。


新幹線の台車亀裂問題をめぐりJR西日本が発表した現場社員への聞き取り調査結果は、今回の問題が多数の死者を出す「最悪の事態」にならなかったのは単なる偶然だったことを、改めて証明したといえる。

のぞみ34号が運転開始後、運転士や車掌、車内販売員らは異音や異臭、振動など計30に及ぶ「異変」を感じていた。原因を調べるために停止させるタイミングは何度もあったはずだが、誰もそうした判断をしなかった。これは旧国鉄のDNAなのだ。


JR西の社長が昨日3時間も記者会見の場で言い訳をしたという。
「走行している列車を止める」という緊急的措置は、旧国鉄時代でも簡単にできるものではなかった。北陸トンネルで発生した急行「きたぐに」の火災事故を思い出す。
しかし、重大インシデントとして国の詳細な調査・究明が実施されるのは当然として、悲惨な事故発生がなかったことに胸をなでおろしている。


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