2017年12月26日火曜日

太陽エネルギーの利用

太陽エネルギーの利用は、昭和50年代以前から屋根に水を循環させて温める「太陽熱温水器」が普及していた。私も昭和56年に新築した際、そのころとしては最先端技術を駆使したパナソニックのソーラーシステムを設置した。
そのシステムは2帖ほどの面積の集熱版を屋根に設置して、媒体液を循環させて温度を上昇させて、蓄熱タンク(460ℓ)に循環させて熱交換し温水にするシステムであった。
設備費用は100万円前後だったが、国から補助金が30万円ほど交付された。

だが、夏場はその機能効果が最大限に発揮されたが、冬場は殆ど電力に頼らざるを得なかった。おまけに家族が多いと冬場はタンクのお湯がなくなって、電力で温めても湯温が上がるのが極めて遅いという欠点があった。北陸の日照率が低いためこのシステムは殆ど普及しなかった。このため10年後に直焚きボイラーに変えた。

ところが最近のニュースで県内に大規模なソーラーパネルによる発電をして、北電に売電する設備が完成したという。

メガソーラー稼働 石川の4社、1000戸分の電力供給



石川県内の電気工事会社など4社が同県七尾市で整備していたメガソーラー(大規模太陽光発電所)が完成し、7日に稼働を始めた。総投資額は約15億円。一般家庭1000戸分の電力を供給し、固定価格買い取り制度に基づき北陸電力に全量売電するという。

電気工事の大竹電機(白山市)、建設会社の白山建設(同)、産業廃棄物処理のトスマク・アイ(同)、やまと商事(金沢市)の4社が「七尾瀬嵐メガソーラーパーク」を運営する。敷地面積は約3万4千平方メートル。出力4000キロワット、年間発電量は約485万キロワット時で、北陸3県では規模が大きい。

七尾市北部の森林地帯で今年1月に着工し、パナソニック製の最新鋭の太陽光パネルを約1万4千枚設置。北陸電への売電単価は1キロワット時36円。4社合計で年間1億8千万円の収入を見込む。

売電価格は家庭用と産業用の2本立てだが、この産業用売電価格が36円と掲載されていたので、そんな高価格で売電できるのか調べてみた。 
年度
売電価格
2012
40+
2013
36+
2014
32+
2015
29+
2016
24+
2017
21+
この表では今年度が21円、どうして15円も高い36円なのか不思議な気がする。

10kW以上は売電期間が20年間 と優遇される
10kW以上の産業用太陽光発電システムの売電期間は住宅用(10kW未満)の倍の20年間です。

これは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及が急務なため。
『太陽光発電システムのオーナーの利潤が多くなるように配慮する』と法律の文面に書かれているくらいなので、この長い売電期間(買取期間)が設定されている。

どうして国は太陽光発電を厚遇しているのか?
ここまで見て頂くと、どうしてここまでして太陽光発電システムを普及させたいのか疑問に思う方もいらっしゃるかと思う。
こんなに良い話だと「どこか騙されているのでは?」と疑いたくなる。

元々は温暖化対策
数年前まで温暖化対策が大きく取り上げられていた。
火力発電などと比べ、二酸化炭素を排出しない太陽光発電システムはクリーンな電力という事で重宝されていた。
ただ東日本大震災以降は原発問題から火力発電比率が高まり、温暖化ガスの削減目標の達成は遠く離れてしまった。

現在の問題はエネルギー自給率
しかしそれでも国が太陽光発電システムを含む再生可能エネルギーの普及を進める理由は、エネルギー自給率の問題があるからだ。

現在の日本のエネルギーは極端に海外に依存しているため、エネルギー自給率が先進国の中で突出した低さになってしまっている。
このエネルギー自給率は、外交的なリスクを常にはらんでいるため、少しでも高める必要がある。 エネルギー自給率と同様に低くなってきて問題と言われているものに食料自給率がある。

電力会社との連系に問題が生じる場合も
市場の電力供給バランスを鑑みて、一部電力会社は売電の新規契約を一時中断している。今後も電気の供給量が需要量よりも多い場合、売電ができない可能性があるという。

まだまだ注目されている再生可能エネルギーだが、それにまつわる法律も改正の可能性があり、電力会社との連係がどうなるかは不安定な部分がある。 

北陸の日照率の低さや電力会社との安定した連係に問題がある中で、15億円も投資する決断に至ったのか、その経緯の詳細が知りたいと思うのは私だけだろうか。

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