2017年3月17日金曜日

歴史的遺産との関わり(その1)

国道8号線で金沢から津幡に入って間もなく、のと里山海道方面と富山方面への分岐点に差し掛かる。
この道路は供用開始されてから十数年を経たが、道路建設に先立ってこの付近での埋蔵文化財(加茂遺跡)の発掘調査が必要とされた。その遺跡発掘調査が国交省から石川県埋蔵文化財センターに依頼された。

埋文センターでは発掘調査はするものの、測量や詳細図等の作業は専門業者に依頼することになるが、この設計書(積算書・仕様書等)を作成できる技術者がいないため、石川県建設技術センターに業務委託された。その業務を私が担当することになった。そんな知識は皆無であったので、コンサルタントの担当者から作業方法等を詳細にヒヤリングして設計書を作成した。

埋文センターにおいて発掘調査を進めたところ、土器や布などが発掘されたほか、長さ80cm×幅40cmほどの1枚の板が発掘された。板に墨で書かれた痕跡を詳細に調べたところ、これが一大発見であることが分かった。平安時代前期のおふれ書き、傍示板と云われる官令で、百姓の生活をきめ細かく指示したものであった。
加賀傍示板
解読の結果
百姓は朝早くから日暮れまで働け!酒を飲むな!魚を食うな!酔っぱらってうろうろするな!と記されていることが分かったのである。如何に百姓が搾取・収奪されていたのか伺い知れるのだが、このような「おふれ」を掲げなければならない事情があったということは、正々堂々と掟を破っている百姓たちが大勢いたことになる。「ああ愉快なり」とも云えよう。

埋文センターの南側広場に縄文時代の建物が復元されている。
竪穴式住居の復元
この復元にあたり、工事監理の委託業務でこれにも関わることになった。施工にあたり、京都の歴史研究所から指導していただいた。私の専門は土木技術なのだが、オールマイティにならざるを得なかった。


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