2017年3月14日火曜日

「おまんなぁ、金沢弁ではなしせーまんや」

住み慣れた地域の言葉であっても、その地域を離れ、新しい場所に移るとまたその地域の言葉に慣れ覚え使えるようになる。
だが、転勤を重ねると業務上どうしても標準語を話ざるを得なくなる。
であるが、地元住民と鉄道建設に伴う設計協議を行う場合、標準語で話すと地元の人間からすれば「よその人あるいは役人」に見られる。

だいたい設計協議をまとめ上げるという難問の場合、賛成3、絶対反対3、どうでもいい4の割合が一般的なのだ。
3割の絶対反対者をいかに賛成に回ってもらうか、それは折衝者の誠意と人間性がものをいう。
このことから、「よその人あるいは役人」ではあってはいけないのだ。人間性を理解してもらうためには、地元の言葉で話す、これがコミニケーションを円滑にする鉄則なのだ。

単身赴任でたまたま金沢で鉄道高架の仕事をしていた時の話である。金鉄局で高校同窓会の活動が行われていたのだが、私は組織が別なのでその会員ではなかった。ある日、先輩が局内の同窓会を開くので特別に参加しないかと誘いがあった。十数名の宴会が始まり会話が弾んでいた時、1年先輩が私に「おまんなぁ、金沢弁ではなしせーまんや」といわれたのだ。標準語でしゃべる私に、「なんもおもっしょないがいや」と。

忠告を受け、金沢弁で話しをすることにした。金沢弁で会話を進めていくと全員の気持ちに一体感が生まれるのを感じた。方言の効果は偉大であった。そして、今後この組織の会員になれといわれた。

住み慣れた地域の方言ではあるが、その場所以外でその地域の方言を話せといわれても中々難しい。だが、その地域に行くとどういう訳かすらすらと方言が話せる。摩訶不思議な気がする。

6年間過ごした時の広島弁、10年住んだ岐阜と名古屋、1年の豊橋、聞けば全て理解できるが、今となっては話すことは不可能である。

私は今、金沢弁が普通、実家の掃除に帰って近所の人と話す時は柳田弁となるのである。

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