2013年2月28日木曜日

奇祭「宇出津のあばれ祭り」

あばれ祭りのクライマックス
昭和37年7月7日から8日の2日間、宇出津は祭り一色に包まれた。
全職員が宇出津寮に集まって祭りを楽しむことになった。会食のあと祭り見物に出かけた。
私と同年代の若者が一心不乱に祭りに身を投じ、自らも楽しんでいる姿を見ると、自分も傍観者ではなくキリコの担ぎ手として仲間になりたいものだと思った。
会食後のひと時
私は母親の実家が宇出津であったことから、幼いころ何度かキリコに乗せてもらった。1基のキリコに子供が20人ほど乗って、太鼓、笛、鉦に合わせて「ワー、イヤサカサッサ」と掛け声をあげるのである。
キリコは各町内から1基づつ繰り出し、全町内50基のキリコが午後8時ころ宇出津埠頭の広場に集結して、5,6基設けられた大松明の火の粉が舞い散る中を、太鼓、鉦、笛の音が俄かに早いテンポに変わり、それに呼応した担ぎ手が勇壮に「ソレーッ」と雄叫びをあげながら小走り状態となって練り行く。昼過ぎからの長丁場、飲みに飲んで体力の続く限り全力を振り絞る。その情景は大観衆まで酔わせてしまう。
これがこの祭りのクライマックスである。
役場職員であろうが、企業の社員であろうが、若い衆は準備後片付けを含め1週間は休暇をもらい、祭りのために涙ぐましいほど献身的に与えられた役割に没頭する。この使命感は、吾々が考えられる範疇よりはるかにその想像を超えたものがある。
現在でもその気質が脈々と受け継がれており、県外に就職している若者は、盆暮れよりも優先して祭りのために帰郷する。休暇の承認をしない企業があると「退職願」を出すほど祭りに入れ込むのである。
翌日はそのキリコに「あばれ神輿」が加わる。海に投げ込み、川に投げ込み、橋脚にこれでもかとぶつけ神輿の原型がなくなるまで壊しまくる。
火に投げ込み
海に投げ込み
そしてまた川に投げ込み
橋脚にぶつけ徹底的に壊しまくる
漁師町宇出津の心意気が息づく祭りが今年も繰り広げられることであろう。

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