2020年8月23日日曜日

奥能登に名家あり(最終稿)

時国家には3回行ったことがある。建築面積が和式建物で最大規模といわれるだけあって、茅葺き屋根がとてつもなく大きく、押しつぶされるような重量感がある。玄関に入って右側からが順路となっていて、最初は大納言の部屋へと足を運ぶ。前田の殿様が「余は中納言故」と中に入るのをためらったと説明があるが、現在では吾々でも入ることが出来る。

で、右側が縁側となっており、庭園を見ることが出来る。庭園は鎌倉時代の様式とされ、鎌倉風の池泉回遊式庭園は、背後の山を自然に組み込んだ巧みな構成で、素朴ではあるが力強い作風であり、国の名勝に指定されている。 
心字池をメインとして庭園が広がる
縁側を左に折れると来客用の浴室がある。



物を包むものを風呂敷と思っていたが、高貴な方が直接桶に触れないための布とは恐れ入った。
つづいての間取りは私用スペースとなる。私用部分の部屋には、現在は展示品を陳列している。大庄屋の公務用品、千石船用品、日用品などで、極初期の輪島塗の器は美術品として評価が高い。 
私用居住部
土間の上部に3基の駕籠
当主や奥方が外出する場合は駕籠を使用したということだろう。奥能登にこのような館があるとは何と素晴らしいことだろう。まだ訪れたことがない人に是非ご覧頂きたいものである。入場料は500円となっている。

かつて一航海の純利益が3億円といわれる北前船だが、5艘の北前船を運行させ、莫大な利益を上げていた時国家である。商才も並み外れたものが代々受け次がれたのだろう。
この上時国家から海側に400m程進むと下時国家がある。
重厚な構えの大農家づくり
ここへは残念ながらまだ行ったことがない。
上時国家から南に2km程進むと南惣美術館がある。ここもお勧めどころである。是非どうぞ!
(おわり)

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