2020年1月6日月曜日

高速道路が貫通するビル


大阪駅が至近距離の、あるビルに高速道路が貫通しているという珍しい風景がある。
平成16年頃、和歌山市へ公務出張した際に高速バスで金沢から大阪(阪急梅田)まで行った。出張用務は翌日からなので、そこから大阪駅の北側に位置する梅田ヤード跡地の開発状況を見学することにした。

ヨドバシカメラの前から開発エリアに行ってまだ50%くらいの進捗率なのを確認した。
そこから大阪駅の西側に回って10年ほど前(平成6年)に見学した都市開発のビル群を再確認した。
その開発地域の端部を観て、「おや、あれは何だ!」と目を疑う風景が目に入った。
何と、高速道路がビルの5,6階に空いた部分を貫通しているではないか!

道路はビルと完全に分離して建設されている

貫通部分の拡大写真
経緯を調べてみた。
1989年(平成元年)に道路法、都市計画法、都市再開発法、建築基準法の一部を改正し、道路と建築物等の一体的整備を認めた立体道路制度が制定された。これにより、高速道路が貫通したビルを建てられるようになった。TKPゲートタワービルは日本で初めて立体道路制度を利用した建物である。しかし通常は、地下に道路、地上に建物を配置するのが一般的で、道路部分がビルを貫通するのは極めて稀である。

この土地の地権者(末澤産業)は、1893年(明治26年)からこの場所で製薪炭業などを営んでいたが、社屋が老朽化したため1983年(昭和58年)に改築することにした。しかし、都市計画によって高速道路が通ることになっていたため建築許可が下りなかった。地権者側は譲れなかったため阪神高速道路公団(現・阪神高速道路株式会社)と約5年間にわたり交渉し、ビルに高速道路を通すことで決着した。もっとも当地は梅田に近い一等地で地価が高く、阪神高速側にとっても、土地を買収するより区分地上権を設定するほうが安上がりとなるメリットがあった。 
道路走行動画より
よっぽどの事情がない限り、このようなビルは存在しないのだ。
大阪方面へおでかけの際にちょっと見に行ってもいいかも・・・・

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