2017年10月21日土曜日

日産・神鋼は大企業病に罹っている

旧国鉄時代の話をしよう。複線化工事は列車運転に支障がないよう細心の注意を図りながら実施される。安全綱領に「職員は職責を超え安全確保に一致協力しなければならない」と謳われた。
機関士や運転士が工事現場付近を通過するとき、危険を感じて停車しただけでも事故と看做された。乗務員は運転状況を当直助役に報告する義務がある。当直助役は管理局保安担当に報告する。保安担当は事故の軽重にかんがみ、本社関係部局に報告される。

一方、工事施工局においては工事担当助役が詳細な状況報告書をまとめ、事故担当課を経由し担当次長に報告される。程度によっては本社建設局長へ報告される。

国鉄ではあったことをなかったことにすることを「まる」と称した。事故が発生した場合でも工事施工局サイドは何とか「まる」にしようと幹部と共に奔走した。乗務員が当直助役に報告する前に手もみしながら平身低頭で「なかったこと」にしてもらうようお願いした。しかし、この段階で先ずなかったことになることはない。結局、管理局と工事施工局の部長と次長の折衝となる。

日産は不正が発覚して経営陣が謝罪した。だが、下部組織に伝わらず不正が続いたという。神鋼にしてもデータ改ざんは全社的規模で実行されたという。
なぜ国鉄の事故について記したかというと、不都合なことは「まる」にしたいとする行動は組織が大きいほど強くなることを例としてあげた。

日産の不正検査は、国交省が実施した完成車工場への立ち入り調査で判明した。これを受け、国交省は9月29日付で日産に対して1カ月をめどに調査結果と再発防止策を報告するよう指示している。

石井啓一国土交通相は20日の閣議後会見で、日産自動車(7201.T)の不正検査が国交省に指摘された後も続いていたことについて「極めて遺憾だ」とした上で「法令順守意識の徹底と安全管理体制をしっかり検討し、対策を徹底してほしい」と要請した。


石井国交相は神戸製鋼所(5406.T)の品質不正問題についても言及。「不適切な行為だ」とした上で、1)最終製品の安全性への影響の有無と事実関係の究明、2)鉄道事業者、自動車メーカー等への適切な情報提供、3)徹底的な原因究明と再発防止体制の構築を速やかに報告する――ことを求めた。

世界に冠たる日本の物づくりが、一連の不祥事で一気に疑問符が付けられた。


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