2013年9月2日月曜日

新幹線計画業務(その3)現場踏査と三角測量をマスターせよ

概算工事費は工事数量×工事単価の総和である。
トンネル延長が決定すると上部半断面掘削数量、導坑掘削数量、下半掘削数量、巻厚別コンクリート数量、鋼製支保工数量、ずり(掘削土)捨て数量等々が算出できる。土捨て場の位置想定を行い運搬距離を図上で測定して運搬処理費を算定しなければならない。
橋りょう工事費は各橋台、橋脚毎の基礎工施工の仮締切工、根掘り数量、型枠面積、コンクリート数量等々を算定する。
こうした一連の作業を2週間の期限付きで行った。今振り返ればよくやったものだと感心する。

作業終了で一息つけると考えていたが、直ちに現場踏査を実施せよと非情な業務命令が発せられた。
手始めに西広島駅から徒歩で己斐トンネル予定ルートを踏査することになった。
予定ルートには当然「道」はない。図面に示されている測量中心線と地形を見ながら藪をかき分けながらルート上に沿って山を登り下りしなければならない。
2日かかりで己斐トンネル1本分の踏査を終えた。途中、竪坑設置予定場所を確定した。
まだ、五日市、廿日市、大野、大竹の踏査が残っているのだが、工事発注予定期日までに余裕があるので機会を改めて実施することになった。
予定ルートは山案、海案、中案があり早急に決定する必要があり、各ルートのメリット、デメリットを抽出しなければならなかった。
縮尺1/10,000の長さ7,8mもある平面図に曲線交点をプロットして座標値を図上測定する。
交点と交点の直線部分に工場、学校等の支障移転が困難な物件があると拙いので、図上の交点にピンを刺し、それに糸を付けて方向を調節した。このような作業は在来線では考えられず、これが最初で最後であった。
このような作業を繰り返し行って仮座標値を決定した。確定するには現地で三角測量を実施して交角、距離を測定することになる。

線路中心測量や横断、縦断測量は外注としたが、三角測量とはいかなるものか施工主が分からないでは話にならない。当局は若年者職員に技術習得をさせるため、実習教育をすることにした。
指導者は測量会社が派遣した。
課の若手6人(当時は私も若手の一人だった)が、大竹市玖波町の魚屋の2階に寝泊まりして実習することになった。
最初に山口県境にほど近い三角点のある山に測量機器を担いで登山した。
業者が最新鋭の測量機器である電磁波測距儀と称するものを使用するというので取扱いの講習を受けた。目標となる三角点に電磁波の反射板を設置して、測角と測距を行う方式で、馬鹿でかいバッテリーと、やたらとスイッチの沢山ついた本体、それを据え付ける三脚を担いで登山しなければならなかった。一応、機器の操作要領を習得した。それからは三角測量の実習である。

三角測量に使用する機器は、ドイツ製のウイルド(トランシット)である。10km先程度までの三角点に旗を付けたポールを視準して測角する。望遠鏡を覗くと倒立像が見える。日中は気温が上昇し陽炎が立つため、夜明け直後の短い時間しか作業ができない。
交代で測角
三角点の目標ポール=映画「硫黄島の攻防」みたいだ=
バーニアで数値を読み取り記帳者に報告する
県境から西広島まで1週間の登山と測量実習であった。宮島に渡り聖岬三角点でも機械を据え付けた。岩国、大竹コンビナートから排出される煙で視界は不良のため作業は難儀した。

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