2016年9月6日火曜日

新幹線工事監理業務(その2):広島県から工事中止命令

昭和47年、29歳の新たな年が明けた。大野トンネルの起工式が終わり、現場は町道から現場内トンネル坑口まで200mの工事用道路の築造を開始した。
毛保川に工事用橋りょう架設、坑口までの通路築造と進め坑外設備が急ピッチで建設された。

坑外設備が整った
導坑々口が完成
この坑口施工のため、付近の樹木を伐採して2週間ほど経過した頃、突然、広島県農林事務所の担当者が現場に訪れ、「本工事の中止を宣告する。速やかに原形復旧せよ!」と命令された。
この命令を受け、直ちに本局に飛び幹部に報告した。
中止命令の根拠は保安林指定の樹木を伐採したためであった。

本局工事発注担当者の調査ミスのため現場担当者である私がきつく叱られた。
そして、本来なら用地課担当の仕事なのだが、保安林解除申請の一切の業務を私にやってくれと、とんだお鉢が回ってくることとなった。膨大な添付資料の多さに気が遠くなりそうであった。

今でも理解に苦しむところであるが、樹木伐採の面積調査は当然だが、トンネル全掘削数量の処理の明細書を作成せよという。400,000㎥の掘削土をどこで処分するか。大野町内には適切な土捨場はないため、付近住民と協議し、田んぼにズリ70cm厚を敷き、その上に50cm厚の良質土を載せるという話がまとまったが、面積は膨大なものになった。耕作地という名目ではあったが、実質は大規模な宅地造成であった。この申請が終わるまで工事中止処分なので、約1か月間寝る時間を割いて土捨て位置図。地主の承諾書等の資料作成に没頭しなければならなかった。
4月になり担当助役と部下1人が着任した。
宮島の「紅葉谷公園」で花見
単身赴任なので一刻も早く住まいとする借り上げ宿舎を探し歩いた。が、どこも古い物件ばかり。新築している建物があったので建て主に是非貸してほしいと頼んだが、養子縁組がまとまりそうなのでその向きに建てているので・・・と断られた。
結局、1年半程、事務所1階の宿直部屋住まいを余儀なくされた。

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