保健所に電話したら、中々繋がらない、繋がっても症状を聞かれ、検査基準を満たしていないから検査できないとか、厚労省に聞いてみてとか・・・というケースがあちこちで発生しているという話を聞いていたのだが、日本は世界最低ラインの検査体制は何で改善できないんだろうと歯がゆい思いをしていた。
これには戦前の感染症対策を取り仕切っていた組織のテリトリーが今に引き継がれているからだという指摘もあった。
そんな影響なのか、PCR検査を増やすことがパニックや医療崩壊につながり、むしろ感染を拡大させるというコンセンサスになっているという。
だが、この説明では、日本でPCR検査の数を増やせば、多くの人がパニックになり、検査の特異度や感度を理解しない多くの人が社会に混乱と被害を広めかねないということが前提になっていて、ようするに日本人は異常事態に動じやすく冷静にものごとを判断したり理解できるリテラシーが低いから、PCR検査の数を抑えておこうということになったとも考えられる。
OECD加盟国中、PCR検査の数が下から2番目というのは、どう考えても異常だろう。
医療崩壊を防ぐためにPCR検査の数を抑制するという発想について考えれば、最初のうちこそ技術的・物理的な制限があって検査数を増やせなかったとしても、この2ヶ月の間にいくらでも解決策はあったはずだ。パニック防止にしても、偽陽性や偽陰性について国民に周知徹底させる時間的猶予はあった。患者が死亡してから陽性だと判定されたケースが複数あった。速やかな検査をしなかったため適切な治療が施されず検査体制が死亡させたのだ。
保健所の体制強化は最低限の要員補充にとどめただけで、抜本的な解決策に本腰を入れた様子が見られない。ダイヤモンドプリンセスの調査に入った岩田健太郎医師が感想を述べたところ、ものすごい圧力が加わってとうとうブログの記事を削除したことがあった。
果たして、PCR検査抑制の背景には、日本人の健康リテラシーの低さがあるのだろうか。そして、政治家や役人、専門家、医療関係者は、日本人の健康リテラシーを信用していないのだろうか。
国と国民が相互に信頼できないという不幸な状況があるとすれば、それは日本が新型コロナ感染症に立ち向かっていくために最も大きな障壁になるだろう。
「やる気がなかったわけでは全くない」。安倍晋三首相は昨日(4日)の記者会見で、新型コロナウイルスの有無を調べるPCR検査件数が海外と比較して少ない理由を問われるとこう反論した。
首相は「どこに目詰まりがあるのかと何度も言っている」と、原因の把握に努めていると強調。同日の専門家会議で、一因として保健所の業務過多、検体採取の態勢などが課題に挙げられたと指摘した。しかしだ。2ヶ月以上もかかる訳はないではないか。この期に及んでも「テリトリー」にこだわっているとすれば言語道断である。
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