「引きこもり」という言葉が世に知られるようになってから、およそ20年たった。それが今、40代〜50代の引きこもり当事者と、70代〜80代にさしかかり、精神的・経済的に限界を迎えている親たちの問題がクローズアップされているのである。
280世帯の吾が町内でも複数の引きこもり世帯がある。ある家庭では両親が相次いで亡くなり、引きこもっている人は一人暮らしを続けている。玄関フードの鍵もしっかり掛かっており、班長が回覧物を置くにも困っているという。
引きこもりの若者が存在していた世帯もこれが長期化すれば親も高齢となり、収入に関してや介護に関してなどの問題が発生するようになる。これは80代の親と50代の子の親子関係での問題であることから「8050問題」と呼ばれるようになったのだ。
該当している親子というのは親には収入がなくなっている状態であり、親子で社会から孤立した状態になっている。2018年3月5日の北海道新聞では該当する親子がそろって孤立死したという記事が掲載された。これは1月に検針に来たガス業者が異変に気付き、中に入ってみれば親子で孤立死しており、これは前年に死んでいたと思われる状態であった。
80代の親が収入のない50代の子と同居したまま、外とのつながりが途絶えて孤立し、生きていくことに行き詰まる「8050」世帯の現実が、また顕在化した。
こんな造語があるという。OSDという。意味は単純で、親が死んだらどうするの頭文字だそうだ。
札幌市のアパートの一室で、82歳の母親と引きこもる52歳の娘の親子が、飢えと寒さによって孤立死した姿で見つかったのだという。
3月5日付の北海道新聞の記事によると、親子の遺体が見つかったのは、今年1月初めのことで、娘は長年引きこもり状態だったという。
「親だけが原因というわけでもない。日本は原因を特定して、責任の所在がどこにあるかということから始まる。親は自分の子育てに問題があったのではないかと抱え込んでしまう。だから"見守りましょう・待ちましょう"では、親がどんどん孤立してしまう」と訴えた。
内閣府が公表した調査(H30年度版『子供・若者白書』)によると、16〜39歳の引きこもり当事者は全国に約54万人いると推計されているが、実は40歳以上に関しては調査から外れているのだ。国は今秋以降に調査すると発表しているが、「大人の引きこもり」が多数存在していると考えられる。 トータル的には100万人を超えると推定されるのだ。
引きこもりになったきっかけとして多いのは、「職場になじめなかった 23.7%」「病気 23.7%」「就職活動がうまくいかなかった 20.3%」「不登校(小学校・中学校・高校) 11.9%」「人間関係がうまくいかなかった 11.9%」「大学になじめかった 6.8%」「受験に失敗した 1.7%」などがある。
吾々世代で引きこもりになったという話は聞いたことがない。それは吾々世代の子供から始まったと云える。あれこれ原因は上げられるだろうが、やはり育った環境だろう。吾々世代は親が苦労して子育てをしていることを見て育った。一方、子供が生まれ、その子供には不自由はさせたくないという思いがベースになって子育てをした。子供の云うことに頷きながら子育てをした。吾々世代の子供時代と比較すれば、それは「甘やかし」であった。で、自分で生きる必死さに欠けた子供が大人になった。
地域がどう関与すればいいのか考えなくてはならない問題だ。
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