2021年5月18日火曜日

誰も為し得ない功績

 昭和36年10月、能都町交通安全協会が主催した自動車運転免許講習会の軽自動車(二輪)免許講習会を受講して軽二輪免許を取得した。赴任してまだ2ヶ月しか経たないのに、ずうずうしくも上司である助役に講習会に行きたいと申し出て、年休ではなく勤務扱いで受講した。動機は第1種原付自転車運転許可証があったのだが、事務所にあったのがメグロ125ccのバイクだったので、これに乗り能登中を走り回りたいと思ったからだった。

メグロオートバイ(125cc)

事務所にあったバイクは125ccながら、現在のバイクとは比べものにならないくらい重量があり風格があった。外見は立派だったが、残念なことにクラッチが故障して機能しなかった。しかし何度も触っていると、足で蹴って動かしてギアをローに入れると走れることがわかって、馴れてくると徐々にギアを上げてトップも入れることが出来るようになった。太った年配の職員を乗せてトンネルの側溝蓋の上を走行できるまでになった。

正月が明けると間もなく軌道敷設工事が開始されるので、その前に宇出津から事務所前の小木駅予定地まで走破を試みた。路盤は完成しているものの、トンネルが連続する区間は側溝蓋の上を走行した。これには高度の運転技術が必要だった。側溝はトンネルの両側に設けられており、側溝幅もせいぜい40cm前後、そしてトンネル側壁がハンドルすれすれに位置しているので極めて危険なのだが、事故も無く10kmを完走した。現在は廃線になっているものの、トンネル側溝は道床バラストで覆われていると想定するので、もう誰もチャレンジは不可能だろう。自分だけが為し得た「功績」は永遠なのだ。

0 件のコメント: