で、アサギマダラは「旅する蝶」として有名で、春から夏にかけて南から北へ移動し、秋になると南下するようだという。
アサギマダラの不思議は、まず、渡り鳥のように季節によって長距離を移動する習性を持つことだ。しかも集団でそれを行う。何がこの「渡り現象」を誘引しているのかは研究でも特定されていないと聞く。渡り鳥は遙か南方から日本まで往復しているのは知っているし、風にも負けないで飛べると思うのだが、その蝶ときたら、吹けば飛ばされてしまいそうなイメージが強い。強風をどのように避けているのだろうという疑問が強くなる。
海を越えて移動するチョウの「アサギマダラ」の飛来が、今年も白山市瀬戸の尾口公民館で観察されている。移動経路を突き止めようと、地元住民らは連日、アサギマダラの羽に捕獲した日時や場所を記して再び放す「マーキング調査」に取り組んでいる。
この蝶が2千km彼方まで飛ぶという |
海を越えて移動するチョウの「アサギマダラ」の飛来が、今年も白山市瀬戸の尾口公民館で観察されている。移動経路を突き止めようと、地元住民らは連日、アサギマダラの羽に捕獲した日時や場所を記して再び放す「マーキング調査」に取り組んでいる。
このように羽根にメモを記入する |
アサギマダラは黒く縁取られた水色の羽を持つチョウで、羽を広げた大きさは約一〇センチほど。春に九州などの温暖地で羽化し、夏は本州の冷涼地に渡って繁殖する。本州で新たに生まれた成虫は秋になると、再び温暖地に向け移動する。
尾口公民館には、アサギマダラが好んで蜜を吸う秋の七草の一つ「フジバカマ」約千株が植えられ、ピンクの花を咲かせている。この花に集まったアサギマダラを捕獲しマーキング調査することで、移動先で再び捕獲された際、移動経路や日数などが分かる。過去には、白山市でマーキングされた個体が約二千キロを飛び、台湾海峡に浮かぶ島で再捕獲されたこともあった。
観察を十六年間続け、地元の子どもたち向けに観察会も開いている中村明男さん(71)=白山市瀬戸=は「子どもたちにアサギマダラの小さな体に秘められた生命力の強さを感じてもらえれば」と話している。アサギマダラの長距離飛行に感心するのだが、16年間も観察しておられる中村明男さんのパワーには凡人にはまねができない。
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