今日の朝刊の「地鳴り」という投書欄に、ある高校生の投書に注目した。それは町会に関する投書だった。若いのに頼もしいと感心したのである。
高校生の投書 |
その前になるのだが、「定年退職した人が地域の世話をするという、かつての町会像は成り立たない」という記事があった。自分は十年間ほど町会連合会で副会長等の業務を担当したことがあったのだが、23の町会が集合する組織の中で過半数の町会は任期1年であった。
しかし任期1年では、前任者からたった2,3時間程度で業務を引き継いで、行事が近づいた段階で段ボール箱の資料を引っ張り出して何をどうするのかを勉強する、こんなことで1年が過ぎ次の新任者に引き継ぐことになる。
こうした新町会長は、町会をいくつかの班の集合体であるブロックによる輪番制なので、
「ま、1年だから何とかやらなくてはしょうがないか」というスタンスなのだ。
300世帯を要する町会でも、町会長は輪番制で選出すると制度を変更した町会も出てきた。住みよい地域づくりに尽力しようと自負心溢れる町会長が急速に減少している。
何が原因なんだろう。これは住民の高齢化に加え、業務量の増加が背景にあるようだ。「昔はなかった問題が次々と出てきている」のである。
1人暮らし高齢者が増え、孤立防止や安否確認が課題になった。災害が多発する近年、いかに円滑に避難誘導するか・・・。時代の変化に対応するため、町会の役割も責任も増している。
そのため、役員にのしかかる負担感は、町会の存続をも脅かすことになる。「役員を引き受けたくない」という理由で退会したり、引っ越したりするケースが少なくないという。実際、町会の加入率は年々目減りしている。ある市内では2017年度、59・4%。10年前に比べて7ポイント以上減った。中には、解散を検討する町会も出てきているという。
町会について調査・研究する近畿大の竹本康彦准教授(応用統計)は「1人暮らし高齢者や生涯未婚者が増えるなど、家族のかたちは小さく、弱くなるばかり。その分、地域のサポート力が問われるがこちらも弱体化が進む。この『共倒れ』現象を食い止めるため、行政はもっと危機感を持ち、町会へのサポートの在り方を模索すべきだ」と指摘している。
町会のある組織の懇親会 |
しかしそうだろうか。新聞に投書した女子高校生は町会の原点を的確に捉えているのである。「町会はコミュニケーションの大切な場である」ことを理解しているではないか!。
住みよい地域は住民自らの意思で作り上げられるものであることを信じたい。
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