2019年5月29日水曜日

いしかわの神々

「門外不出の神像が1000年の扉をひらく」という新聞見出しがあったので、何のことだろうと記事を読んでみた。平安時代に造像されてから一度も外に出たことのない神像が、この先、少子高齢化時代がますます進んで行くなかで、神社関係者の危惧が高まって一般公開されることになったという。
七尾市の神社にそんな神像があったことに驚きを持った。そしてその神像が歴史博物館に展示されるというので是非見たいと思っていたのだが、昨日、その思いが叶った。


入場料は800円のところ、60歳以上は団体料金の640円だった。メインの神像があって、それに関わる資料があると想定して展示室に入ったが、思惑は実際と大きくかけ離れたものだった。二つの広い展示室に所狭しと県内のあらゆる神像がずらりと並べてあったのである。ただ、残念なことに写真撮影が禁止されていることだった。

展示室
本展の趣旨として、これまで人目に触れることなく大切に守り伝えられてきた神像や、神と一体視された仏像などの選りすぐりの遺宝を展観し、神と仏を等しく崇めてきた信仰の歴史と美の世界をみつめることとしたという。 
里山・里海そして奥山の恵みにあずかる私たちのふるさとでは、古来よりさまざまな神々と寄り添う暮らしがあった。その信仰は、明治の神仏分離まで仏教と互いに影響し合い融合しながら育まれてきた。

説明書きを食い入るように読む来訪者
1000年の時を経てようやく人目に触れた神像
正式な名称は木造 久麻加夫都阿良加志比古神坐像という。 
平安後期 久麻加夫都阿良加志比古神社蔵 重要文化財 である。うかつにも、ここへ来るまで気付かなかったのだが、この神像の所有する神社が中島町のお熊甲祭りで有名な神社だった。神像はかなりの大きさがあり、目にはメノーらしきものが入れられ、唇には朱色の顔料が1000年の時に耐えていた。

お熊甲祭り
県内の著名な神社と云えば白山比咩神社と気多大社だが、その神社からの神像や掛け軸等が多く出品されていた。


              絹本著色 白山三社神像(部分)
鎌倉時代 白山比咩神社蔵 重要文化財(展示期間 4/27~5/17)
白山比咩神社が所蔵する、白山の女神像(重要文化財)を期間限定で公開。

今まで名前すら知らなかった「かけ仏」も数点展示されていた。


              日本最大級の懸仏(かけぼとけ)

懸仏とは、神鏡に顕れた仏を表現したものである。かつて氣多大社に祀られていた前田家ゆかりの懸仏は、なんと1メートル超えの大きさで、そのスケール感を間近に見ることが出来た。
明治初期まで神仏混交が一般的だった神社が、廃仏毀釈で大改革された。あの気多大社の後方に複数の寺院があったという。

くまかぶとあらかしひこ像の公開にあわせて、県内各地のほか福井県からも神像等の出品があり、よくぞこれだけ集めたなぁというスケールの大きな催しだった。
まだ見ていない方、あと4日間だけとなりました。この期間内に是非鑑賞されますことをお勧めします。




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