去年の春、1週間ほど高熱が続いて日曜当番のクリニックまで行って診察してもらったのだが、次の日の朝も熱は下がらず行き付けのクリニックに向かう途中、口中に違和感があるので指を口に入れ歯を触ったところ、何と4本の歯が一度に抜けた。以前、長く歯医者に通ったのだが、その際に4本の歯の裏側を何かの材料で連結したのだと分かった。
その後クリニックで診察していたのだが、途中から意識がなくなって気が付いた時は浅ノ川病院のベッドの中だった。
高熱の原因は「肺球菌」と告げられた。
肺炎球菌という細菌が感染することで起こる感染症である。「感染」とは、本来その菌がいないはずの部位に菌が住み着き増殖している状態で、何らかの病状があらわれた場合を「感染症」と呼ぶ。成人では、その名のとおり、「肺」に感染して「肺炎」を起こすことが多いのだが、ほかに、菌血症/敗血症、髄膜炎などを起こすこともあるという。
さて、前置きが長くなったが、4本も奥歯がなくなると食べるときに難儀な状態となる。
退院後、仕方がないので歯科医に行って入れ歯を作ってもらった。
日本で「入れ歯」を使っている人は2000万人超と推計され、毎日の生活に欠かせない存在だが、いま、入れ歯が原因で命を失う人が続出しているという。
東京医科歯科大学の調査では、朝食時に「総入れ歯」が外れて、咽頭部に詰まり死亡したケースが、「日常生活で起こる可撤性義歯の誤飲」(東京医科歯科大学・下山和弘ら)より判明した。
また、入れ歯を誤飲した54例中21例が、入れ歯の「バネ」によって食道や腸に孔が開いていた。敗血症などを起こせば、死に至る危険な状態である。
毎年正月には、1200人超が、餅を喉に詰まらせて窒息死している。実は「合わない入れ歯」による咀嚼力の低下が、原因の一つになっていた。
そして、入れ歯の悩みでダントツに多いのが、「痛い」「噛めない」。その理由を入れ歯治療の第一人者・深水皓三氏(銀座深水歯科・院長)の解説によると「入れ歯の型取りをする際、大半の歯科医が、ぎゅーっと強く噛ませます。すると、抜ける前の歯を支えていた歯槽骨の土手部分(顎堤)の粘膜が“圧迫された状態”の型になります。この型をもとに、歯科技工士が入れ歯を作るので、痛くて噛めない入れ歯になってしまうのです」。
であるから“無圧状態”で型取りするのが理想的だが、高度な技術が必要となるという。
「もう一つの理由が“噛み合わせ”です。顎の骨の上にある歯槽骨は抜歯後に吸収されるので、土手(顎堤)も低くなっていく。こうした中で、噛み合わせの調整をするのは、とても難易度が高いのです」(深水氏)
痛くて噛めない入れ歯に、患者は我慢してはいけない。原因の多くは、歯医者の知識や技術不足にあるという。
4本の入れ歯は写真のイメージにほぼ同じである。固定する金属バネもあるので、誤飲しないよう気をつけなければいけないと肝に命じた。
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