その船着き場から湾沿いに東に歩くと製氷所があり、やがて宇出津水産高校に至った。高校は随分前に移転したが、その跡地は今ではマンションが立ち並んでいる。
その今はない高校の裏手から急な坂道を登ると「城山」(じょうやま)に至る。そこは遠島山公園となっている。この公園は意外と広い。突端まで700mくらいはあるだろう。
この公園の向こう側に能都勤労青年ホームがある。
遠島山公園とそこを結ぶつり橋がある。この橋が完成するまでは往来することは困難だった。
しらさぎ橋 |
このつり橋の下は雑草が生い茂りやがて砂浜の狭い海岸になる。
海岸が見える |
海岸に立つと見える風景 |
この湾は舟隠しと云われる |
ここは世の中の喧騒を忘れ、静寂に包まれる場所である。この公園は棚木城と呼ばれた頃、敵襲に備えて舟を隠していた場所とされる。
この場所に事件は起こった。
1977年9月19日夜に起きた宇出津事件、在日朝鮮人の工作員が知人の久米さんを、宿泊していた町内の旅館から海岸に連れ出し、迎えに来た北朝鮮工作船に引き渡したとされている。在日朝鮮人は現場付近で逮捕され、拉致への協力を認めており、主犯格の金世鎬(キムセホ)容疑者は2003年に国際手配された。政府が認定する日本人拉致被害者の第1号で、北朝鮮側は否定している。
あの事件から40年、拉致被害者はまだ大勢北朝鮮に残ったままである。
その事件以来、ここを訪れる観光客は誰もいない。
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