そのホテル関係者とは、金沢駅西のほか大垣駅前のホテル建設に関わりがあった。いわゆる「上得意様」であった。
高級料亭とは高岡町に店を構えた「つる幸」である。部屋の左手に立派な庭園があった。
この店は、慶事などに使われてきたほか、歌手の松任谷由実さんや元横綱の千代の富士ら、金沢を訪れた著名人にも愛されたという。オーナーでかつ料理長でもある河田さんは料理番組「料理の鉄人」に出演したほか、2016年には、レストランの格付け本「ミシュランガイド」で二つ星を獲得した。
「これを機に原点に立ち返り、楽しく料理をしたい」。そう思い立った河田さんは、老舗の暖簾のれんを下ろす決断をした。「せつ理」という名のカウンター数席の小さな店を近くに開き、懐石料理の枠を外し、お客さんを前に料理を振る舞うことにした。河田さんは「料理と真剣に向き合っている姿を見て楽しんでもらいたい」と料理人として新たに出発する。
ということで、加賀百万石伝統の懐石料理を受け継ぐ金沢市の料亭「つる幸」が11月いっぱいで50年ほどの歴史に幕を閉じることになったという。金沢を訪れた各界の著名人にも愛された名店だが、時代の変化に対応できなくなったのが理由だ。2代目主人の河田康雄さん(52)は「今まで親しんでくれた人には感謝しかない」と感慨深げに振り返る。
さて、この店での宴会をした請求書は20万円余であった。一人約3万円。ここに芸子さんでもを呼べばドカンと上乗せされただろう。
そういえば、この後の5,6年後、再びこの「つる幸」にやってきた。
転職して転勤のない業務機関に勤務していたのだが、職員が毎月一定額(給料の2%)を積み立てて送別会や、忘年会、暑気払いのために備えていた。忘年会は1泊の温泉旅館で行っていたのだが、若手職員の大多数が温泉へは行きたくないということになり、意見交換した結果、金沢の著名な料亭を毎年1回づつ巡ろうということに決まった。
そして「つる幸」に行ったのである。しかし、「つば甚」は建物が古くなったなぁ。
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