2018年9月19日水曜日

あの高級料亭がなくなるとは

時は平成7年、清算事業団の出資会社へ出向して、土地の売却方式によるホテル建設業務に従事していた時の出来事である。駅西口のホテル建設が進捗し、やがて発注者に建物引き渡しとなるに先立ってそのオーナー関係者4人をある高級料亭に接待した。接待する関係者は4人、計8人の宴会が始まった。

そのホテル関係者とは、金沢駅西のほか大垣駅前のホテル建設に関わりがあった。いわゆる「上得意様」であった。
高級料亭とは高岡町に店を構えた「つる幸」である。部屋の左手に立派な庭園があった。


この店は、慶事などに使われてきたほか、歌手の松任谷由実さんや元横綱の千代の富士ら、金沢を訪れた著名人にも愛されたという。オーナーでかつ料理長でもある河田さんは料理番組「料理の鉄人」に出演したほか、2016年には、レストランの格付け本「ミシュランガイド」で二つ星を獲得した。


だが、日本庭園を眺めながら個室で食べる懐石料理は、時代に合わないとも感じるようになったのだという。政治家や企業幹部らの宴席は減少。週末や夜間の勤務もいとわない厳しい仕事に2、3か月で辞める若手板前も多い。ピーク時には30人いた従業員は20人ほどに減った。

「これを機に原点に立ち返り、楽しく料理をしたい」。そう思い立った河田さんは、老舗の暖簾のれんを下ろす決断をした。「せつ理」という名のカウンター数席の小さな店を近くに開き、懐石料理の枠を外し、お客さんを前に料理を振る舞うことにした。河田さんは「料理と真剣に向き合っている姿を見て楽しんでもらいたい」と料理人として新たに出発する。

ということで、加賀百万石伝統の懐石料理を受け継ぐ金沢市の料亭「つる幸」が11月いっぱいで50年ほどの歴史に幕を閉じることになったという。金沢を訪れた各界の著名人にも愛された名店だが、時代の変化に対応できなくなったのが理由だ。2代目主人の河田康雄さん(52)は「今まで親しんでくれた人には感謝しかない」と感慨深げに振り返る。 


さて、この店での宴会をした請求書は20万円余であった。一人約3万円。ここに芸子さんでもを呼べばドカンと上乗せされただろう。
そういえば、この後の5,6年後、再びこの「つる幸」にやってきた。

転職して転勤のない業務機関に勤務していたのだが、職員が毎月一定額(給料の2%)を積み立てて送別会や、忘年会、暑気払いのために備えていた。忘年会は1泊の温泉旅館で行っていたのだが、若手職員の大多数が温泉へは行きたくないということになり、意見交換した結果、金沢の著名な料亭を毎年1回づつ巡ろうということに決まった。

そして「つる幸」に行ったのである。しかし、「つば甚」は建物が古くなったなぁ。

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