2019年1月17日木曜日

軽4は日本の文化なのだ

「軽自動車ばかりが売れる日本はダメなのか」と題した記事が面白かった。
著者は法政大学大学院 教授の真壁 昭夫氏である。 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職 

記事概略
2018年の車名別新車販売台数で、ホンダの軽自動車「N‐BOX」が2年連続で首位となった。軽自動車はトップ10のうち7車種を占め、全体シェアも3分の1を越えている。
「日本独自規格である“軽”ばかりが売れるのは不健全だ」ともいわれるが、法政大学大学院の真壁昭夫教授は「それは表層的な見方にすぎない」と指摘する――。

自動車には、その土地での人々の生き方が反映される。その意味で、“自動車は文化”だ。文化とは、わたしたちの“生き方(way of life)”である。今後の自動車需要が見込まれる国の文化は、各国の自動車企業の経営に無視できない影響を与えるだろう。
その時々の世界的な自動車シェアや相対的に高い技術力を持つ国の文化が、自動車の基本設計に大きな影響を与えてきたということだ。

この考えを基にすると、わが国において軽自動車(排気量660cc以下、長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下の三輪および四輪自動車)が人気を集めている理由が、よくわかるだろう。
一部の軽自動車は、より大きな排気量を持つ乗用車よりも高額だ。軽自動車人気の理由をわが国の経済の低迷だけに求めても、納得のいく説明は難しい。
故障が少なく、燃費効率や耐久性の高い日本車なのだ。 第2次世界大戦後、世界の自動車産業におけるわが国の競争力は徐々に高まった。なぜなら、わが国は約3万点に達するといわれる自動車の部品を精密にすり合わせ、故障が少なく、燃費効率や耐久性の高い優秀な自動車を生み出すことができたからである。 

わが国の国土は狭い。そのため、道幅も狭い。山間部には急峻な地形が多く、自動車には十分な登坂能力が求められる。資源の調達・確保に関しても、わが国は多くの化石燃料を海外からの輸入に依存している。地方では、兼業で農業に携わる家計も多い。
わが国での人々の生活を考えると、大排気量かつ大型の自動車を日常的に用いることは現実的ではない。農村や漁村では、細い道にも問題なく入っていける小型の自動車のほうが運転しやすい。必ずと言っていいほど農家に“軽トラ”があるのは、そうした文化の表れに他ならない。 

中国の自動車の設計思想は、世界の自動車業界に無視できない影響を与える。中国で深刻化している問題に、大気汚染がある。中国政府は大気汚染対策のために、レシプロエンジンを搭載した自動車ではなく、電気自動車(EV)の普及を重視している。

その理由は、ガソリンエンジンなどよりもエネルギー効率の良いモーターを用いることや、再生可能エネルギーを用いた発電により、温室効果ガスの排出を減らすことができるからだ。中国での需要を取り込むために、世界の自動車企業がEV開発に注力しているのである。

以前、軽トラがアメリカで大人気になっていることをblogに書いた。輸入規制で中古車に限られているというが、近いうちに規制がなくなって大ブームが到来するだろう。
日本の軽4ほど安くて丈夫で低燃費、それに使い勝手がいい車は外国では作れない。
20年前に西安に行った時、スズキアルトがタクシーとして使われていた。
インドで全車種の40%を生産しているというスズキ。これは軽4の製造技術があればこそである。そのうち軽4が世界を席巻するだろう。




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