近年、日本海沿岸にプラゴミが大量に漂着している。細分化したプラスチックの粒が魚類の内臓から検出されるなど、海洋プラごみ問題が深刻化している。環境省が漂着ペットボトルを全国各地で調査したところ、山口県下関市と長崎県対馬市では、およそ半数が韓国製と判明。漂着ごみの被害は排出国の総量以外にも、距離の近さが深く関係しているようだ。
こうした中、頼もしい人物が金沢におられる。南極を三度訪問した経験を生かし、危機にひんする海洋環境の現実を伝えたい−。元海上自衛官の中川亨さん(61)=金沢市出身=が4月、市内で海洋環境教室を手掛ける団体を立ち上げ、活動を始めるという。約40年間の海上生活に区切りをつけるベテランは「プラスチックごみが海洋生物の生命に影響を与えている。私たちに何ができるかを考える場にしたい」と話している。2009〜2011、二度にわたって砕氷艦「しらせ」の乗組員として南極の地に足を踏み入れた。
帰還後には、南極でも微小粒子のマイクロプラスチックが見つかったことを知った。死んだクジラやウミガメの体内だけでなく、人体からも検出されている。「南極の素晴らしさを伝える活動をしようと思っていたけれど、海洋環境を守らなければ、それもままならない。地球人として行動しなければ」。新型コロナウイルス禍で海に出る機会も減っており、団体を設立することを決めた。今後のご活躍を期待したい。
金沢の漂着ごみはこれまで各種団体が清掃活動を行なってきた。
クリーンビーチいしかわの清掃活動 |
アーバントラウト犀川を見守る会の清掃活動 |
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