2019年9月28日土曜日

「しばしも休まず村の鍛冶屋」ではないのだ

昨日、偶然にFacebookでこんな投稿を眼にした。

ふくべ鍛冶さんはふくべ鍛冶にいます。
9月25日 18:00 · 石川県石川県 鳳珠郡 ·
【かじやの窓口の秘密】9/25
チラシをよーく見て下さい。実は、かじやの窓口プランとして、料金は一律ポッキリとなっています。


全国の鍛冶屋さんや刃物屋さんを見てみて下さい。刃渡りが長かったり、刃がカケていたらプラス料金が発生します。いったいいくらになるの??と思うことありませんか?
ふくべ鍛冶は、そんな不安を一律料金で取り除きます。なので、窓口プランには、高価な刃物、状態のよろしくない刃物を持ってこられた方がお得(秘密)となります^ ^

どうしてこんな事ができるのか?それは年間数千〜数万点の修理品を取り扱っている実績から平均値をとっているからです。スケールメリットを能登のお客様に還元したいと思っています☆ 以下略

素晴らしい経営ポリシーで店を運営している干場夫妻
実はもう10年ほど前になるが、産展で買い求めた長火鉢の五徳を探しまわっていた時に、宇出津のスーパーで買い物をしてついでに新町通りのスーパーの向かい側に金物屋があったのでそこにあるかも・・・と思い店に入った。おやじさんが要望を聞いて、「これはどうか」と勧められた。建設資材の棒鋼を加工した五徳だった。大小いくつか並んでいたので「今どきこんな需要はあるのか」と聞いたら、お寺さんから時々注文が入るのだとか。
宇出津新町通り ふくべ鍛冶
今の当主は息子さんの 干場健太朗さんである。
1980年生まれ。能登町宇出津出身。高校卒業後、京都の大学に進学。経営学を専攻する。卒業後Uターンし、能登町役場に就職。現在は明治41年創業の老舗『ふくべ鍛冶』の4代目として、包丁や農具、漁師の道具などの金物を製造販売。その一方で、商工会青年部の中心人物として、地域活性や地場産業の振興にも取り組んでいる。

公務員から鍛冶職人へと転職。  県外の大学を卒業後、地元の能登町役場に就職。退職するまでの12年間、まちづくりや地域活性に取り組んできました。鍛冶職人を目指したのは2015年。母が病気で他界したのをきっかけに「これからは家業の野鍛冶で地域を盛り上げていこう」と心に決め、町職員として働きながら早朝と深夜に修行をするようになりました。師匠でもある父は「見て覚えろ」の昔ながらの職人気質。同僚や近所の人たちに包丁を借りては、納得がいくまで何千本も研ぎ続けました。役場を退職後は、妻と一緒に会社を切り盛り。

転職してまだ5年目だが、その経営戦略が異色なのだ。
HPを拝見すると次のような文章が飛び込んでくる。

能登の野鍛冶屋
ふくべ鍛冶

私たちの仕事は
刃物を作ることではありません。
その土地の営みを守り、
皆様の「こまった」を「よかった」に変える。
日々の当たり前の生活にあるものを支え、
大切なパートナーであること、
私たちは野鍛冶という仕事を、
そう考えています。
道具には魂が宿り、
文化を伝える力を持っている。
そう信じ、私たちは皆さまとともに
日本の大切な文化を、
守り、発展させるため、
今日も鉄を叩き、刃を研いでいます。


うれしいねぇ。今どき奥能登の鍛冶屋さんがこんなコンセプトで鍛冶屋を営んでいくとは!テレビで巡回して注文を聞いて回る干場さんを取材していた。

奥さんと二人で近郷の農家を回っている
ただ回るだけではなく、新商品の開発も行っている。
もうすぐ売り出す「サザエの身抜き器」のビデオも作成した。

サザエの身抜き器
PR用のビデオはyoutubeで見られる
写真は生のサザエの身を、誰でも簡単に取り出すことができる「サザエ開け」です。
これまでにない独特な形状で、素早く簡単にサザエの身を取り出せます。また、貝柱まで丸ごときれいに取れるので、新鮮なサザエがさらに美味しくいただけます。地元鮮魚店と共に研究を重ね、「この角度が1度狂っても使い勝手が悪くなる」という独特なカーブに到達、現在特許を出願中です。



明治41年創業、石川県・能登半島の野鍛冶「ふくべ鍛冶」は、能登を中心に農漁業、土建業、一般家庭をお客様として、金物の製造販売・修理をおこなっています。
初代「勇作」から2代目「政治」、3代目「勝治」と身代が受け継がれ、現在は4代目となる「健太朗」が新たに移動販売業を開始。地域に愛される鉄の便利屋として奮闘しています。

2011年、能登半島は佐渡とともに日本初の世界農業遺産登録地となりました。その選定キーワードは「里山里海」。ふくべ鍛冶が地域の人々のために作り続ける道具は、今も「里山里海」の暮らしを支えています。


店舗の他、離れた場所に作業所がある。現在、8人の社員で奮闘中だという。
宇出津に縁がある人間として応援(と云っても見守る程度だが)していきたい。

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